みなさんは「RESAS」って知っていますか?
実はこれ国が提供しているWeb上のデータ分析サービスなんですが、けっこう使えるんです。
地域振興を考える上でも役に立つと思うので、今回はそのサービスを実際に使ってみながら紹介していきます!
「RESAS」って何?
RESAS(リーサス)は、日本・内閣府のまち・ひと・しごと創生本部が運用している、産業構造や人口動態、人の流れなどに関する官民のいわゆるビッグデータを集約し、可視化を試みるシステムである。地域経済分析システムという表現も用いられる。RESASは、Regional Economy (and) Society Analyzing Systemの略である。
2015年4月にスタートしたサービスで、年を経るごとに様々なマップやデータが追加されています。各自治体の総合戦略にRESASのデータを活用することが推奨されており、2016年9月までに約7割の自治体が何らかの形でそのデータを活用したと回答しています(日本経済新聞社『日経グローカル』調べ)。
RESASを使うメリット
では従来のデータ分析の方法と比べ、RESASを使うメリットはどこにあるんでしょうか?RESASのWebサイトに書かれていることをまとめてみました。
- ビッグデータ
人口・産業・観光に関する信頼性の高い統計資料が揃っている。スマートフォンのGPS機能をベースとする集積データなども見ることができる。 - 見える化
すべてのデータがグラフやモデル図で表示されるため、直感的にわかりやすい。 - 操作が簡単
特別な知識はいらず、パソコンの操作が苦手でもすぐ使えるようになる。 - 各自治体の関係性
各自治体のデータが連携しているため、自治体間の人の移動や経済の動きが分かる。
つまり簡単な操作・直感的なデータ表示により、より多くの人が地域の様々なデータに触れやすくなったということです。当初は自治体向けとされていたRESASですが、最近では個人や企業も活用例も増えているようですね。
実際に使ってみた
それでは伊根町を題材にして、実際にRESASを使ってみましょう。
今回は2016年8月の伊根町の休日の滞在人口について調べてみます。
メインメニューから「まちづくりマップ」を選択。
その中から「From-to分析(滞在人口)」を選択。
右にある欄で「京都府」「伊根町」を選択。すると下のような画面がでてきます。なんか各地から赤い線が伊根町に向かって飛んできていますね。これが人の動きを表しているようです。
もう少し詳しく見るために条件を入力して、右下にある「グラフを表示」をクリック。
市区町村別の滞在人口割合が出てきました。
滞在人口が2317人で、その中で伊根町の住民が1266人。ということは夏の休日は町外から約1,000人/日、伊根町に来ていると考えてよさそうですね。観光客の方がほとんどかと思いきや意外と近隣の自治体からも人が来ているようです。仕事なのか、観光なのか…?
では今度は市区町村別ではなく都道府県別の滞在人口を見ていきましょう。
…あれ?
合計人数が約350人も違う…。なぜ…?同数になるはずなのに…。
おそらくこのマップの元データがスマホアプリを活用して算出されているので、それを処理する際にどこかでズレが生じたんでしょう。伊根町だとサンプル数が少ないので、そのズレも大きくなるのかな。
にしても人数にして1割以上のズレ…。しかもさきほど出ていなかった関東からのお客さんが入ってます。さっきの市区町村別のデータはなんだったんだ笑。
いろいろ見比べてみて、この場合は京都府内の移動であれば市区町村別のデータ、府外からの移動であれば都道府県別のデータを参考にするのがよさそうです。
RESAS触っているとけっこうこういうズレがあります。そこは人間であるぼくたちが優しく汲み取ってあげましょう。
都道府県別のデータを見てみると、基本的に近畿圏のお客さんが多いですが、関東からのお客さんも増えてきているようです。メディア露出が増えたのもあり、徐々に伊根の舟屋も全国に知られてきているということでしょうか。
今回は簡単な分析だったのでろくな考察ができていませんが、RESAS上にある他のデータを組み合わせることで、今まで気付かなかった意外な関係性に気づくこともありますよ。是非お試しあれ。
おわりに
RESASいかがだったでしょうか?
興味がある方はとにかく一度触ってみてください。ポチポチとクリックしているだけでも、いろいろなデータが出てくるのでけっこうおもしろいですよ。
特にスマホのGPS機能を活用した各データは今までなかなか触れられるものではなかったのでかなり貴重です。
一方でスマホのアプリを活用したデータも多く、その時点で母数にフィルターがかかっているものも多くあると考えます。
今回の伊根町の例でも数字のズレは生じたので、現時点では細かい数字を鵜呑みにせず大まかな傾向をつかむ際に活用するのが有効かもしれませんね。