こんにちは、スギです。
徳島県神山町には、「地産地食」をコンセプトに掲げる食堂「かま屋」があります。
「地産地食」とは「その土地の自然と農、農と地域の人、地域の人たちと日々の食べるモノゴトが、食文化として四季を通じて循環し、次の世代に受け継がれていくこと」。
ものさす(http://www.monosus.co.jp/posts/2017/03/161439.html)より引用
神山の農業を次世代につなぐため、地域で設立した㈱フードハブ・プロジェクトという会社が運営しているこの食堂。
お店の至るところに「地域の食」へのこだわりが感じられる、素敵なお店でした。
かま屋
神山町を東西に横切る438号線沿いに小ぎれいな白い食堂があります。
それが「かま屋」。
カフェオニヴァと同じく神山町で絶対訪れたい場所だったので、神山視察1日目のランチに早速行くことにしました。
店内に入ると、雨だというのにほとんど席は埋まってました。
入口の近くにはお子さんが遊べるようにちょっとした畳スペースが。
内装は鉄骨やダクトなどを見せるような構造になっており、今風のシンプルなもの。
ランチのメニューは「おばんざいワンプレートランチ」。
「はら八分目プレート(¥1150税抜き)」と「はら六分目プレート(¥880税抜き)」の二つのコースから選びます。
「はら八分目」って、いいネーミングですよね。
このランチ、神山町内に住んでる人や働いている人には会員限定価格で提供されています。
これは「地元の方々に、地域の農業を日常的に食べて支えてもらいたい」という願いから。
その日も地元の方らしきお客さんが何組か楽しそうに食事をしてました。
ランチの提供は先払いのセルフサービス。
大皿にのってるおかずから食べきれる分だけ取り分けていきます。
セルフサービスというと安っぽいような印象を受けてしまいがちですが、不思議とこの店ではそんな印象は全く受けませんでした。
丁寧に作られたであろう家庭的な料理を、自分が食べられる分だけとるという形。
食材を大切にする姿勢とセルフサービスという提供の仕方が自然な組み合わせのように思えました。
下の写真がその日のおかず達。手前がメイン料理「すだち鶏と豆腐のだんご揚げ」です。
その地域で取れた旬の食材がふんだんに使われていて、美味しい。
あとこの店でいいなあと思ったのが、その月の献立がお店が発行する「かま屋通信」に(Webサイトでも閲覧可)掲載されているところ。
献立を見ながら、どの日に行こうか考えるのも楽しそうですよね。
ただお店の方としては1ヶ月の献立を考えるのはかなり大変なはず。スタッフさんの頑張りに頭が下がります。
店の厨房の上には木製のネームプレートが。
「加工品を作ってもらっている方々」「器をいただいた地域の方々」などお店に関わっている地域の方の名前が書かれています。
かま屋にある椅子や机も神山町の木材が使われています。
至るところに神山町らしさが出てますね。
ちなみにかま屋では「地産地食」の一つの指標として、「産食率」という数字を毎週出しています。
国が定める自給率のように、カロリーや生産額を元にする算出方法ではなく、学校給食などで用いられる「食材品目数(町内産)÷ 食材品目数(総合計)」という計算方法をベースに算出しています。
三食率と献立|Food Hub Project http://foodhub.co.jp/eat/self_sufficient/より引用
「産食率」と一緒に、今どんな食材が取れているか、町内の農業がどういった状況かといったことも書かれており、自分たちの町の農業について理解が深まるような内容になっています。
かまパン&ストア
ランチを食べ終わり、食堂の隣に立つ「かまパン&ストア」に立ち寄りました。
こちらのお店には外壁に神山町の木が使われています。温かみがありますね。
「かまパン&ストア」では、毎朝焼き立てのパンと有機や特別栽培で育てられた野菜や食堂で使われている調味料などが販売されています。
店内も木を基調とした内装で、落ち着いてます。
下の写真に写っている白いパンを食べましたが、もっちもちで非常に美味しい。
神山町に住んでたら、毎朝このパン買ってきて食べたい。
パンや加工品が販売されているスペースからは、実際にパンを作っているところを見ることができ、目の前のパンがより美味しそうに見えてきました。
毎日の「いただきます」を大切に
フードハブプロジェクトのWebサイトのタイトルは「毎日いただきます」。
そこにはこんな思いが込められているそうです。
特別な「いただきます」ではなく、いつもの「いただきます」を大切にしよう。
ものさす(http://www.monosus.co.jp/posts/2017/03/161439.html)より引用
かま屋で食事をしていると、自然と地域の食材やその作り手に意識が向けられます。
そうすると、いつもの食事がちょっと豊かになる。
以前記事に書かせてもらったカフェオニヴァが「カジュアルな非日常」だとしたら、かま屋は「丁寧な日常」といった感じ。
そんな日常が繰り返されて、「地域の食」への意識もだんだんと育まれていくんじゃないでしょうか。
地元にあったら普段使いで通いたくなるような食堂「かま屋」。
伊根町からはちょっと遠いけど、また行きたい店の一つになりました。