こんにちは、スギです。
さてさて、今回も神山町のお話。
神山町1日目の夜。地元の食材を使ったフレンチとこだわりのオーガニックワインが楽しめるお店「Café on y va」(カフェオニヴァ)に行って来ました。
なんでも日本全国はもちろん、海外からもこの店を目当てに来るほどの人気店なんだとか。
それと同時に近所のおじいちゃん、おばあちゃんも足繁く通うというというのがこのお店の面白いところ。
様々なお客さんに愛されるカフェオニヴァ。
そこにはコミュニケーションとクリエイテヴィティを生む、新たなお店の形がありました。
フレンチビストロ「カフェオニヴァ」

カフェオニヴァは2013年12月にオープン。
元々は造り酒屋だった物件を、現オーナーの齊藤さんが気に入り、1年以上かけて現在のお店に改装したのだそう。
お店に着くとすでに何組か食事をしていましたが、その客層が幅広い。
地元の人やまちづくりの視察に来た人、どこかの大学の教授、海外の人も何人か。
海外の人がこれだけ来るとは…期待に胸が膨らみます。
せっかくなので、3人ともコースを頼むことに。
地元食材を使ったオーガニック料理
コースは前菜、スープ、メイン、パンorライス、デザート、ドリンクといった内容。
料理はなるべく地域の食材を使い、しかもオーガニックにこだわった料理。
フランスの家庭料理がメインで、どれも丁寧に作られていて、優しい味わいがしました。

前菜5種盛り合わせ

かぼちゃのスープ

メイン:アワポークト白いんげん豆の煮込み

デザートのクレープ
コースにはなかったですが、オススメだったのでチーズの3種盛り合わせも注文。
オーガニックワインが充実しているだけあって、チーズも多くの種類が取り揃えてありました。
真ん中のビールに漬けたというチーズが、クセになりそうな美味しさでした。

3つのしくみでお客さんに愛される

「カフェオニヴァ」には毎晩さまざまな人が集まる
そんなステキな料理がいただけるカフェオニヴァですが、これほど幅広いお客さんに愛されているのはまだ他に理由があります。
それは他の店とは違う独自の3つのしくみ。その3つのしくみがカフェオニヴァという新たなタイプのお店を形作っています。
休みをクリエイティブに
カフェオニヴァではワインの生産者の畑を見にいくために、みんなで年に一度1ヶ月のバカンスを取るそうです。
しかもこのバカンス、お店のオープン当初に決めてしまったんだとか。
ここにはスタッフの人たちの「働き方」に対する思いがよく現れています。
通常のお店の場合、お客さんが増えて来ると利益も増え、それを投資に回し、売り上げを伸ばそうとします。
しかしカフェオニヴァでは逆で1日の利益が増えた分、休みを増やし、その時間を自分自身のプロジェクトを進めたり、知識を深めたりすることにあてるそうです。
定休日についても当初週2日だったところを、週3日に増やしました。
そして、その休みに得たものをお店にフィードバックすることで、サービスの質が上がったり、新たなサービスが生まれたりするそうです。
実際、このバカンスをきっかけにカフェオニヴァで一つのサービスが生まれました。
それはAirBnB(エアービーアンドビー)による民泊。
バカンスの際に利用した民泊で、家の人が作ったお酒を出してもらったり、ホストの人と交流したり、その土地で暮らしているような旅ができ、非常に楽しい体験をされたそうです。
そんな体験を神山町に訪れる人たちにも味わってもらいたいと、カフェオニヴァでも母屋の一部を改築し、AirBnB(エアービーアンドビー)による民泊を始めました。
カフェオニヴァの民泊はこちら。
Airbnb:Traditional ex-sake brewery and bar
薪通貨
カフェオニヴァでは、お金がなくても薪(まき)を持って行くことでコーヒーが飲めます。
その仕組みが「薪通貨」。
カフェオニヴァでは、暖房のために大量の薪を使います。しかしお店の準備と並行して、大量の薪を用意するのはなかなか大変。
そんなことを町の人に相談したところ、次の来店時に薪を持って来てくれました。
そしてそのお礼に食事をご馳走したことが「薪通貨」のきっかけになったそうです。
神山町はもともと林業で栄えた町。山の手入れをした時の間伐材や製材所から出る端材は今でも多く、みなさんたくさんの薪を持って来てくれるとのこと。
量に応じて、コーヒー、ワイン、ケーキ、ランチと提供するメニューも変わっていき、軽トラ一杯でディナーになるそう(笑)。ステキです。
さらに「薪通貨」をきっかけに、薪を持って来てくれる人とのコミュニケーションの時間も増えているそうです。
ちなみに「薪通貨」とありますが、薪だけに限られたものではなく、野菜などを持って行っても交換できます。
お金のやりとりではなく、物と物の交換によってコミュニケーションが生まれ、「みんなのお店」になっていく。
そんな日々のコミュニケーションが一つ一つ積み重なり、地元に愛される理由になっていくんだと思います。
みんなでごはん
カフェオニヴァでは月に一度、15〜20人ほどで長いテーブルを囲み、みんなでご飯を食べます。
近所の人や移住者、サテライトオフィスの人から旅の人まで。オニヴァのスタッフの人も加わるのも大事なポイント。
この「みんなでごはん」というイベントも、フランスの農家民宿での体験がきっかけとなっているそうです。
働く人も泊まる人も一つのテーブルを囲み、大皿にある料理を取り分けたりしながら食事をする。
そこには一つの大きな家族になったような空気ができるそうです。
カフェオニヴァでもこのイベントの際は、近所の人や移住者、サテライトオフィスの人、旅の人もアットホームな空気に包まれ自然に交流が生まれています。
その交流が地元の人にはいい刺激になったり、相手の理解につながったり。旅の人はそんな地元の人に親しみを覚えたり。そんなサイクルがまた神山町に移住者を呼び込むことにつながっていくのでしょう。
ちなみにスタッフの方々の夢は「町で「みんなのごはん」をやること」。実際にフランスの農村では町のメインストリートに長い机を並べ、みんなでごはんを食べるということが実際にあるのだそう。
想像つきませんが、きっと壮観なんでしょう。
ここのスタッフさんなら意外と早く実現しちゃうんじゃないでしょうか。
まとめ
①クリエイティビティを生む「年に一度のバカンス」
②地元の人とのコミュニケーションを生む「薪通貨」
③多様な人の交流の場となる「みんなでごはん」
地元のおじいちゃん、おばあちゃんがワインを飲みに来る店「カフェオニヴァ」。
そこには従来の飲食店の枠に縛られず、地域と深くつながって行く新たなお店の形がありました。
そんなお店でスタッフの方が本当に楽しそうに働いている姿を見ると、思い切って仕事に「余白」を持ってみることも大事なんじゃないか、と思えた神山の夜でした。